母子家庭の住民税:非課税の年収はいくら?調べ方と計算方法を解説
母子家庭(シングルマザー)の場合、住民税は免除(非課税)されるのか?今回は、母子家庭の「住民税が免除される条件と確認方法」や「住民税の計算方法」についてまとめてみました。
「来年度の保育料のことが心配で・・・。」という方もいると思いますので、この機会に確認してみてください^^
母子家庭の場合、住民税は免除されるの?
残念ながら「母子家庭なら住民税を払わないでいい!」というような制度はありません^^;
ですが、所得の低い母子家庭(シングルマザー)の場合、他の人より「住民税の負担が少なくなる」または「住民税が免除(非課税)になる」条件が有利に設定されています。(免除、非課税とは「払わなくていい」ということです。)
それでは、まず、住民税が免除(非課税)される人の条件から確認していきましょう。
住民税が免除(非課税)される人の条件
- 寡婦または寡夫の方で、前年の合計所得金額が125万円以下(給与収入204万円以下)の方
- 前年の合計所得金額が
単身者の場合:35万円(給与収入で100万円)以下の方
控除対象配偶者または扶養親族がいる場合:(扶養人数+1)×35万+21万円以下の方(※東京23区の場合) - 生活保護を受けている方
とありますので、母子家庭の場合、「寡婦または寡夫の方で、前年の合計所得金額が125万円以下(給与収入204万円以下)の方」に該当すれば、住民税は免除(非課税)となります。
但し、ここに記載されている通り「寡婦または寡夫の方」という条件を満たしていて、申告をしている必要があります。
課税・非課税?の調べ方
前年の合計所得金額が125万円以下<給与収入204万円以下>と言われても、何を見て調べればいいのか?自分が該当するのか?わからない人もいると思います。
そこで、「課税?」か「非課税か?」簡単に調べる方法をご紹介します。(ここでは給与以外に収入がない場合について説明しています。)
前年の合計所得金額が125万円以下とは?
住民税は「前年の1月~12月まで」の収入に対して課税され、「その年の6月~翌年5月」に課税された区市町村に納めることになっています。
給与以外に収入がない人の場合は、源泉徴収票の①「給与所得控除後の金額」ですね。この①の金額が「125万円以下」の場合は、住民税は免除(非課税)となります。
給与収入204万円以下とは?
こちらも、給与以外に収入がない方の場合は源泉徴収票の②「支払金額」の欄で確認できます。
では、前年の合計所得金額が125万円以上(給与収入204万円以上)の場合、住民税はどうなるのか?
次項で住民税の計算方法を説明していますので、「自分の住民税がいくらになるか?」確認してみてください。
住民税の計算方法
まず、お手元に源泉徴収票を用意してください。
【源泉徴収票】
1.給与所得控除後の金額を調べる
源泉徴収票の①「給与所得控除後の金額」を確認します。今回は「192万円」ですね。
源泉徴収票がない場合は、こちらを参考にしてみてください。→国税庁HP>給与所得控除
2.所得控除の合計額を計算する
続いて、所得控除の合計額を計算していきますが、「社会保険料控除」は、先ほどの源泉徴収票の②の額で、その他に「基礎控除」と「母子家庭の特別の寡婦控除」「生命保険料控除」を加えています。
「生命保険料控除」の計算式は所得税と住民税で異なります。詳しくはこちらが参考になると思います。⇒第一生命HP
基礎控除 | 33万円 |
---|---|
特別の寡婦控除 | 30万円※寡婦(夫)の場合は26万円 |
社会保険料控除 | 32万円 |
生命保険料控除 | 26,500円 |
所得控除合計:976,500円
(その他、医療費控除や扶養控除などがあれば追加してください。)
※ここは重要です。なぜなら、所得控除が多ければ多いほど住民税は少なくなるからです。
3.課税される金額を計算する
計算式:「給与所得控除後の金額」-「所得控除の合計額」=課税される金額
192万円-976,500円=943,500円
課税される金額は943,000円(1,000円未満切り捨て)となります。
4.「所得割」額を計算する
住民税は市区町村民税と都道府県民税を合わせたもので、所得に応じて計算される「所得割」と各市区町村で決められている「均等割」で構成されています。
計算式:「課税される金額」×「税率」=所得割額
所得割 | 均等割 | |
---|---|---|
市区町村民税 | 課税額×6% | 市区町村で決められた額 |
都道府県民税 | 課税額×4% | 市区町村で決められた額 |
都道府県民税:943,000円×4%=37,720円
市区町村民税:943,000円×6%=56,580円
37,720円+56,580円=94,300円
所得割額:94,300円
5.調整控除を計算する
「3」で求めた課税される金額が200万円以下の場合、200万円を超える場合とで計算方法が異なります。
<課税される金額が200万円以下の場合>
A:5万円+基礎控除以外の人的控除の差額の合計額
B:課税される金額
<課税される金額200万円を超える場合>
と のどちらか多い金額×5%(都民税3%、区民税2%)=控除額
5万円+基礎控除以外の人的控除の差額の合計額-(課税される金額-200万円)
5万円
基礎控除以外の人的控除の差額一覧はこちらを参考にしてみてください。大阪府八尾市[人的控除の差額]
今回の課税される金額は943,000円なので<課税される金額が200万円以下の場合>で計算します。
A:5万円+(特別の寡婦5万円)=10万円
B:943,000円
Aの方がBより低い金額なので、
AとBのいずれか低い金額×5%=控除額
10万円×5%=5,000円
そして、所得割額-控除額=調整控除額を計算します。
94,300円-5,000円=89,300円
調整控除の金額:89,300円
6.「均等割」額を計算する
計算式:都道府県民税+市区町村民税=均等割額
(平成30年東京都新宿区の場合)
都道府県民税:1,500円
市区町村民税:3,500円
1,500円+3,500円=5,000円
均等割額:5,000円
7.住民税を計算する
計算式:「所得割(調整控除の金額)」+「均等割」=住民税(年間)
89,300円+5,000円=94,300円
住民税(年間):94,300円
これで計算は終わりです。お疲れ様でした^^
母子家庭の方は申告すれば寡婦控除(特別の寡婦控除)が適応されます。他の人より26万円or30万円も多く経費として認めてもらえますので、申告を忘れないようにしてくださいね。
申告と言っても簡単です^^寡婦の申告方法についてはこちらの記事にまとめていますので、良かったら参考にしてみてください。
■母子家庭の所得税が免除・減免される年収はいくら?計算方法を確認
母子家庭の国民健康保険料について「軽減・免除」の記事を追加致しました。
「離婚後の国民健康保険料はどのように決まるのか?」私の住んでいる市区町村に問い合わせたことをまとめていますので、「この保険料は妥当なのか?」「離婚後の保険料が高すぎる!?」という方は、是非!参考にしてみてください。
終わりに
住民税は「前年の1月~12月まで」の収入に対して課税され、「翌年の6月~5月」に課税された区市町村に納めることになっています。もし、期限内に払えない場合は「分割払い」も可能です。
それでは、今日も最後までお読みいただきありがとうございました。少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。