健康保険:退職後、扶養に入る収入要件は?必要書類と手続方法も確認

健康保険

今回は、夫や親の健康保険の扶養に入るときの手続きについて、「収入要件」「必要書類」「手続き方法」をまとめてご紹介します。近々仕事を辞めようと思っている方、結婚や出産で仕事を辞めた方などで「夫や親の扶養に入ろうかな?」と考えている方は参考にしてみてください。

※当記事は、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」における扶養の要件・手続き方法をご紹介しております。お勤めの会社が協会けんぽ以外の健康保険組合等の場合は、共通する部分も多いですが異なる部分もございます。不明点はお勤めの会社の健康保険組合 にご確認ください。

同じ内容を動画でも解説していますので、是非ご覧ください。

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被扶養者の要件

「扶養される人」のことを「被扶養者」といいます。まずは、この「被扶養者の要件」を確認していきましょう。

被扶養者は、「日本国内に住んでいて、被保険者により主として生計を維持されている人」で、さらに次の「収入要件」と「同一世帯要件 」両方に該当する人です。※被保険者とは「扶養する人」のことです。

収入要件

同居の場合 年間収入130万円未満で、被保険者の収入の半分未満
別居の場合 年間収入130万円未満で、被保険者からの仕送り額未満

※60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満。
※収入には雇用保険の失業等給付、公的年金、傷病手当金や出産手当金もカウントされます。

被扶養者の年収は130万円未満(月額108,333円以下)となります。ここでの年収とは、過去の収入ではなく、これから先の見込み収入額で決まります。

例えば8月から扶養に入るとして、1~7月まで働いていて年収が200万円あったとしても、8月以降の1年間で年間見込収入額が130万円未満 (月額108,333円以下) であればOKです。

また、同居の場合は、原則として夫や親(被保険者)の収入の半分未満でなければいけませんが、半分以上の場合であっても、日本年金機構が総合的に勘案して「被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるとき」は被扶養者として認定するケースもあるので、あきらめず日本年金機構に問い合わせしてみましょう。

同一世帯要件

同一世帯要件とは、被保険者と同居している必要があるかないかです。下記①は同居していなくても扶養に入れるグループ。②は同居していないと扶養に入れないグループです。

①被保険者と同居していなくても被扶養者になれるグループ

  • 配偶者(事実婚でもOK)
  • 子、孫、兄弟姉妹
  • 父母、祖父母などの直系尊属

    ※配偶者の父母はここには該当せず、次の同居が必要なグループに該当するので注意が必要です。

②被保険者と同居していないと被扶養者になれないグループ

  • 上記以外の3親等内の親族(叔父叔母、甥姪、配偶者の父母など)
  • 事実婚関係の配偶者の父母、子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

    こちらのグループは、収入要件を満たしていても同居していないと被扶養者となれないので注意が必要です。

同一世帯要件については、協会けんぽホームページの下記画像がわかりやすいので参考にされてください。

協会けんぽホームページより引用

「扶養に入る」手続きと必要書類

扶養に入る手続きは、被保険者(扶養する人)が、勤務先の会社を通して「被扶養者(異動)届」と言う書類を管轄の年金事務所に提出することで行います。

ただ実際は、会社の人事担当者が書類作成などを行うことがほとんどなので、その担当者に扶養に入れる旨を報告して必要な書類を確認してください。

というのも、扶養に入る人の状況や続柄によって必要書類が結構違います。なので、ここでは一般的な必要書類をご紹介しますが、必ず勤務先の担当者と相談しながら進めて下さい。

【扶養手続きの必要書類】

  1. 健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)
  2. 健康保険証
  3. マイナンバー確認書類(本人分と被扶養者分)
  4. 続柄確認のための書類 
  5. 収入要件確認のための書類
  6. 仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類(該当者のみ)
  7. 内縁関係を確認するための書類(該当者のみ)

1.被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)

この用紙は、会社から年金事務所に提出する書類なので会社に置いてあるはずです。自分で用意することはないと思いますが、もし必要な場合は、こちらからダウンロードできます。記入例も掲載されているのでご利用ください⇒日本年金機構ホームページ

また、扶養に入るのが配偶者の場合、この用紙が国民年金の第3号被保険者関係届も兼ねています。 ※「第3号被保険者関係届 」は健康保険だけでなく厚生年金も扶養に入りますよ~といった手続きの書類です。

2.健康保険証

会社の担当者から提出を求められたら提出しましょう。1.被扶養者(異動)届に健康保険証の整理番号を書く欄があるので提出を求められる可能性があります。

3.マイナンバー確認書類

これも会社の担当者から提出を求められたら提出しましょう。1.被扶養者(異動)届にマイナンバーを書く欄があるので提出を求められる可能性があります。

4. 続柄確認のための書類

続柄確認のために、被保険者の「戸籍謄本」か「住民票」の提出が必要ですが、1.の書類に被保険者、被扶養者2人のマイナンバーを記載し、会社が二人の続柄を確認できれば必要ありません。ただし、その判断は会社が行うので会社に確認してみて下さい。

5.収入要件確認のための書類

これは被扶養者になる人の状況により必要書類が異なります。以下の書類を用意しましょう。

会社を退職して扶養に入る場合
退職証明書または雇用保険被保険者離職票のコピー

失業手当受給中または受給終了後に扶養に入る場合
雇用保険受給資格者証のコピー

年金受給中に扶養に入る場合
年金額の改定通知書のコピー(その他、現在の年金額が分かる書類)

自営(農業等含む)や、不動産収入等がある人が扶養に入る場合
確定申告書のコピー(直近のもの)

上記以外の収入がある場合
課税(非課税)証明書の原本(直近のもの)

※その他、障害年金、遺族年金、傷病手当金、出産手当金、失業手当などの非課税対象の収入がある人は、別途「受取金額のわかる通知書等のコピー」が必要です。

6. 仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類(該当者のみ)

振込が確認できる通帳の写し、現金書留の控えなど

7. 内縁関係を確認するための書類(該当者のみ)

6内縁関係にある両人の戸籍謄(抄)本など

おわりに:健康保険証が届くまでの期間

お疲れ様でした、以上が健康保険の扶養に入るための要件、必要書類、手続き方法となります。

書類提出後、審査が行われ、扶養認定されると健康保険証が被保険者(親や夫)の会社に送られてきます。健康保険証が届くまでの期間は、協会けんぽの場合7~10日くらいが目安です。

また、扶養手続きの届出期限は、原則「事実発生から5日以内」となっているのですみやかに手続しましょう。

会社を退職時に必要な手続きをこちらの記事にまとめました。各種減免制度をうまく活用することで、退職後の税金、社会保険料を安く抑えることが出来ます。
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1級FP監修】退職後の手続きと減免制度の活用:健康保険・年金・税金編

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