皆さんは、年金と失業保険が同時にもらえることをご存知でしたか?先日、2年前に定年退職した父親と年金の話になり「年金と失業保険の両方を同時にもらっていた」という話を聞きました。
私は「え?年金と失業保険は一緒にもらえないでしょ?」と、聞き直しましたが「もらえるよ!」と言うので、今回は本当に「年金と失業保険は同時にもらえるのか?」&「年金と失業保険の併給方法」についてまとめてみましたので、良かったら参考にしてみてください^^
老齢厚生年金と失業保険は同時にもらえるの?
老齢厚生年金
老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)をもらっている人が、失業保険の基本手当をもらう場合は、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となります。
特別支給の老齢厚生年金とは?
老齢厚生年金の受給は原則65歳から(繰上げ受給・繰下げ受給を除く)となりますが、「厚生年金保険に1年以上加入していた人」「老齢基礎年金の受給資格期間(原則として25年)がある人」は60歳から老齢年金をもらい始めることができます。
「60歳からもらえる年金」が特別支給の老齢厚生年金です。その他「男性:昭和36年4月1日以降に生まれた人」「女性:昭和41年4月1日以降に生まれた人」の条件があります。
失業保険
60歳以上(60歳~65歳未満)の人が加入できる失業保険(雇用保険)には「基本手当」と「高年齢雇用継続給付」があり、「基本手当」をもらう場合は老齢厚生年金は全額支給停止になり、「高年齢雇用継続給付」をもらう場合は、老齢厚生年金は一部支給停止となります。
2017年(平成29年1月1日)から65歳以上の方も失業保険(雇用保険)に加入できることなりました。詳しくは↓の「高年齢求職者給付金」の記事にまとめています。
■高年齢雇用継続給付の条件:支給限度額と基本給付金の計算方法を確認
今までは、65歳以降に退職した方の場合、失業保険(基本手当)の支給はなく、 そのかわりに「高年齢求職者給付金」という一時金を受け取ることができました。
「高年齢求職者給付金」制度は現在も継続してありますが、2017年(平成29年1月1日)から65歳以上の方も雇用保険に加入できることなり、65歳以降に再就職した方でも条件に当てはまれば、(何度でも)「高年齢求職者給付金」を受給することができるようになりました。(支給額や受給期間は今までの「高年齢求職者給付金」と同じです。)
ここまで調べると、失業保険(基本手当)と老齢厚生年金は併給できないことになっていますよね?
しかし!あるタイミングで退職すると、老齢厚生年金と失業保険(基本手当)を同時に全額もらうことができます。次項で詳しくみていきましょう。
年金と失業保険(基本手当)の両方をもらう方法
カギは65歳の誕生日前
65歳前に失業保険の基本手当を受給してしまうと、受給期間中は老齢厚生年金をもらうことができません。
つまり、65歳前に受給する場合は「失業保険の基本手当は諦め、老齢厚生年金をそのままもらう」か、「老齢厚生年金をストップし、失業保険の基本手当をもらう」か、のどちらかを選択することになります。
ですが、65歳以降に受給する失業保険の基本手当と老齢厚生年金は、両方もらうことができます!
「でも、失業保険(基本手当)は65歳過ぎるともらえないんでしょ?」
確かに、失業保険の基本手当は、65歳未満の人でなければ受給資格を得ることができません。しかし、65歳の誕生日の直前に退職すれば受給資格を得ることができ、(65歳以降にもらう年金は失業保険の基本手当との調整がありませんので)基本手当と老齢厚生年金を両方もらうことが可能です。
つまり、失業保険(基本手当)の受給資格を得るために65歳の誕生日の直前に退職し、年金との併給調整をされない65歳以降に失業保険(基本手当)をもらい始めるのという流れです。
65歳の誕生日の直前とは?
65歳到達日は誕生日の前日となりますので、誕生日の前々日までに退職すればokとなります。
退職日については、私もハローワークに何度か電話して別々の担当者に確認してみましたが、「65歳の誕生日の1ヶ月以内であれば、一旦受け取った年金をあとから返金請求されることありません。」と、言っていました^^
恐らく、65歳の誕生日の1ヶ月以内であれば、既に年金側で年金の支給開始処理が済んでいるため、だと考えられます。
(私の父親は65歳の誕生日の2週間前に退職しました。)
ハローワークへの手続きは65歳を過ぎてからでも問題ない?
失業保険(基本手当)の申請~受給は65歳を過ぎてからでも大丈夫です。(但し、申請期限は2年です。)
ハローワークで申込みをしてから7日間の待期期間後、指定された日にハローワークに出向き、失業の認定を受ければ3ヶ月後(離職理由が自己都合の場合)から基本手当の受給が始まります。(離職理由が会社都合の場合は、すぐに受給開始となります。)
<私の父親が行った手続きの流れ>
①65歳の誕生日の2週間前に会社を退職。
②離職票が届き(65歳になってから)ハローワークで失業(求職)の申請。
(※年金受給の手続きは既に済んでいるため、特に手続はしていません。)
③7日待機
④3ヶ月の給付制限(自己都合退社のため)
⑤3ヶ月後から失業手当の受給開始
以上が私の父親が行った手続きの流れとなります。
■ハローワーク職業相談は何を相談すればいい?実績だけならこれで十分!
注意点を確認
退職金の支給条件を確認しておきましょう!
会社によっては定年65歳直前で辞めた場合は退職金が減額されてしまうケースもあると思いますので、事前に確認した上で手続きをするようにしてください。
遺族厚生年金を受給している場合は?
遺族厚生年金(または遺族基礎年金)を受給している人が、失業保険の基本手当を受給しても遺族厚生年金等は支給停止はになりません。
終わりに
今回は「老齢厚生年金と失業保険の基本手当の両方を受給する方法」についてまとめてみましたが、如何でしたか?とりあえず、私の父親が年金や失業保険の不正受給に該当していなくて安心しました^^;
ただ、いつかはこの方法も利用できなくなるかもしれませんので、定期的に調べて情報を更新していきます。
それでは、今日も最後までお読みいただきありがとうございました。少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。