この記事では、シングルマザー(母子家庭)の方を対象に、年末調整書類の書き方と記入例をご紹介させていただきます。
ポイントは、今年(令和2年)から新設された「ひとり親控除」です。
まずは記事前半で、「ひとり親控除」の該当条件をご確認いただき、該当している方はその先の年末調整書類の書き方・記入例をご活用ください。シングルマザーの方に特化した年末調整書類の書き方をご紹介しているので是非参考にしてみて下さい。
ひとり親控除の対象になるか?確認!
冒頭にも書いたとおり、令和2年から「ひとり親控除」が新設されました。年末調整書類を書く前に、まずは自分が本当に「ひとり親控除」の対象となるかをここでご確認ください。
ステップ1:対象を確認
次のいずれかに該当する方が「ひとり親控除」対象です。
- 配偶者と離婚・死別した方
- 配偶者の生死が不明な方
- 現在、婚姻していない方
去年までは、未婚の方は控除対象外でしたが、今年から未婚の方も控除対象となりました。
但し、事実婚状態でないことが条件です。住民票の続柄に妻(未届)・夫(未届)を記載がある人は対象外となります。
ステップ2:申請者本人の所得条件を確認
続いて所得条件です。
申請者本人の合計所得金額が500万円以下(給与年収678万円以下)の方が対象です。
ステップ3:子どもの所得条件を確認
子どもにも所得条件があります。
子どもの合計所得金額が48万円以下であること。また、申請者本人と生計を同じくしている子どもであることも条件です。
ステップ4:控除額を確認
上記3ステップに該当すれば「ひとり親控除」の対象者です。
控除額は以下のとおりです。年末調整で申請して、しっかり控除してもらいましょう。
所得税の控除額 | 35万円 |
---|---|
住民税の控除額 | 30万円 |
シングルマザー(母子家庭)の年末調整:書き方と記入例
年末調整書類の確認
まずは、年末調整書類の確認をしておきましょう。今年の年末調整書類は次の4枚です。
- 令和2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(新様式)
- 令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書
それでは、1枚づつ年末調整書類を書いていきましょう。
令和2年 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
この用紙は、去年の年末調整時(または、今年入社した方は入社時)に書いて提出しているため、会社によっては返却されていない人もいるかと思います。もし返却されていない場合は、一旦返却してもらいましょう。今年から「ひとり親控除」が新設され、若干修正が必要です。
また、未婚のシングルマザーの方は、去年まで控除対象外でしたが今年から対象になったので、忘れずに「ひとり親控除」の申請を行いましょう!
【緑枠内】
あなたの氏名・フリガナ・捺印
あなたの氏名とフリガナを記入し、捺印します。
あなたの個人番号
あなたのマイナンバーを記入します。
■マイナンバーがわからない!即日!個人番号だけを調べる方法
あなたの住所又は居所
ここには原則、今現在住んでいる住所を記入します。
もし、「住民票の住所」と「今住んでいる住所」のどちらを書けばいいのか迷う方は、役所と税務署に確認した内容を下記記事にまとめましたので参考にしてみて下さい。
【参考記事】
■年末調整に書くのは「住民票の住所」と「今住んでる現住所」どっち?
あなたの生年月日
あなたの生年月日を記入します。
世帯主の氏名
あなたと子供だけで暮らしているなら、あなたの名前を記入。実家で暮らしているなら、お父さんが世帯主になるケースが多いでしょう。
あなたとの続柄
世帯主があなたであるなら「本人」と記入。実家暮らしで世帯主がお父さんであれば「父」となります。
配偶者の有無
無に○をつけしょう。
【青枠内】
青枠内は、ひとり親控除の申請欄です。下記のように、「特別の寡婦」を二重線で消し、「ひとり親」と記載し、そこにチェックを入れて下さい。これだけでOKです。(※「左記の内容」欄には何も記載しなくてOKです。)
※ひとり親控除の新設は、令和2年3月に決まったため、「令和2年 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は上記のように手書きで修正する必要があります。
【赤枠内】
赤枠内には子供の情報を記入します。
子供の年齢が16歳以上の場合は赤①に、16歳未満の場合は赤②に子供の情報を記入します。ここ(扶養控除)の書き方についてはこちらの記事に詳しく書かせていただきましたので、書き方がわからない方は合わせてご参照ください。
令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
令和3年分も、「令和2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と書き方は同じです。令和3年分には「ひとり親」欄があるので、そのままチェックしましょう。
令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
この「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書…」という長い名前の書類ですが、この書類は、以下の3つがセットになった今年からの新書式です。
- 基礎控除申告書
- 配偶者控除等申告書
- 所得金額調整控除申告書
この中で、当記事の対象である「シングルマザー(母子家庭)の方」に関係あるのは、
- 基礎控除申告書
- 所得金額調整控除申告書
の2つですが、給与収入850万円以下の方は、基礎控除申告書のみの記入でOKです。
というのも、所得金額調整控除申告書は、給与収入850万円超の人で、かつ、次の4つのどれかに該当する人が対象だからです。
- あなた自身が特別障害者
- 同一生計配偶者が特別障害者
- 扶養親族が特別障害者
- 扶養親族が年齢23歳未満
そこでこの記事では、ほとんどの方が該当する「基礎控除申告書の書き方」に絞ってご説明させていただきます。
※上記の条件に該当する方は、所得金額調整控除申告書の書き方をまとめたこちらの記事を参考にしてみて下さい。
まずは、右上の赤枠内に氏名・フリガナ・住所を記入し、捺印してください。
続いて、もう一つの赤枠内、「給与所得者の基礎控除申告書」を記入していきます。
収入金額(下記画像の青枠内)に、今年(令和2年1月~12月)の給与収入を記入します。
続いて所得金額を計算します。給与所得は次の表に当てはめて計算します。
※国税庁:令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書の裏面より引用。
例えば今回の記入例では、給与収入が250万円で、下から4つ目に該当するので、
給与所得の金額
= ①:2,500,000円÷4(千円未満切捨て)=625,000円
②:625,000×2.8-80,000円=1,670,000円
続いて、「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」をそのまま1,670,000と記入します。※給与所得以外の他の所得がある場合は、計算して、合計金額を記入してください。
最後に、「控除額の計算」です。「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」が167万円なので、900万円以下にチェックし、「区分Ⅰ」に該当するアルファベットAを記入し、控除額である48万円を「基礎控除の額」に480,000と記入します。
これにて完成です。
令和2分 給与所得者の保険料控除申告書
赤枠内
名前・フリガナ・住所を書き捺印します。
緑枠内
緑枠内には、①生命保険料控除、②地震保険料控除、③社会保険料控除、④小規模企業共済等掛金控除を記入します。該当する場合は次の記事を合わせてご参照ください。
①生命保険料控除
■年末調整、保険料控除申告書記入例と書き方。契約者名義が妻の場合は?
②地震保険料控除
■地震保険料控除の書き方と計算方法。年末調整・確定申告の記入例付き
③社会保険料控除
■年末調整:社会保険料控除の書き方と記入例。国民健康保険支払先は?
④小規模企業共済等掛金控除
■年末調整:小規模企業共済等掛金控除の書き方と記入例。iDeCo加入者は必見!
おわりに
お疲れ様でした、以上がシングルマザーに特化した年末調整の書き方と記入例になります。
年末調整の書き方でお困りの方は、ケース別に年末調整記入例をまとめた、こちらの記事も是非参考にしてみてください。
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■2020(令和2年)年末調整書類の書き方・記入例ケース別まとめ!
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。