介護保険は「老後の不安要因である介護を皆で支える仕組みにしていこう!」ということで、平成12年4月から始まった制度です。ただ、負担する介護保険料は年々増加傾向にあり、65歳以上の方で保険料を滞納する人が増えてきています。

そこで今回は、65歳以上の方の介護保険料について、「保険料が支払えず、滞納してしまうとどうなるのか?」また、「介護保険料の減額や免除制度はあるのか?」など、まとめてみましたので、良かったら参考にしてみてください^^

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65歳以上の介護保険料の確認方法

介護保険料 滞納
65歳以上の方(第1号被保険者)の介護保険料は、本人の課税状況や世帯の所得で段階ごとに分けられています。また、介護保険は各市区町村で運営されているため、市区町村ごとに保険料率や保険料が異なります。

所沢市の例で確認してみましょう。所沢市の場合↓は、13段階に分けられています。


(※所沢市の令和2年度の介護保険料所得段階表)

介護保険料は、お住まいの市区町村ホームページで確認することができますので、チェックしてみてください。

こうみると、「第5段階」合計所得金額が80万円超~125万円以下の方の場合でも、月の保険料は約5,000円になりますので負担は大きいですね。

だからと言って、保険料を支払わず滞納すると、いざ介護が必要になったときに給付金を受け取れず、介護サービス費が全額自己負担になるなどのリスクがあります。

介護保険料が払えない!滞納するとどうなる?

65歳以上の方で年金(老齢福祉年金を除く)を年額18万円以上受給している方は、介護保険料は年金から引き落とされることになっているので滞納することはないですが、納付書や口座振替で支払うことになっている方は、支払いが遅れないよう注意が必要です。

それでは、まず、納付書や口座振替で支払う人のケース(普通徴収)を確認しておきましょう。

<納付書や口座振替で支払う人>

  • 年金の年額が18万円未満の方
  • 65歳に到達したとき
  • 他の市区町村へ引っ越ししたとき

「65歳に到達したとき」「他の市区町村へ引っ越ししたとき」については、引き落とし手続きが完了するまで(約半年間)は、納付書や口座振替で支払うことになります。

納期は各市区町村で異なりますが、「毎月支払い」か、「年10回払い(6月から翌年3月まで)」を採用している市区町村が多いです。

次に、「介護保険料を滞納すると、どうなるのか?」について、確認していきましょう。

1年以上滞納した場合

介護サービスを利用したときの自己負担は、本来1割~3割で済みますが、保険料を1年以上滞納するといったん利用料の全額を自己負担することになります。差額については、後日、申請することで払い戻されます。(ただし、食費、居住費、日常生活費などは、全額利用者負担になります。)

1年6ヶ月以上滞納した場合

介護サービスを利用したとき、保険給付金の一部または全部を一時的に差し止められてしまいます。更に、指定された期限までに滞納保険料を支払わない場合、差し止めている額から保険料が差し引かれることになります。

2年以上滞納した場合

滞納している期間によりますが、一定期間、自己負担が3割に引き上げられ、高額介護サービス費などの支給が受けられなくなります。(保険料は支払期限から2年経過すると時効により納められなくなるので注意が必要です。)

その他、支払いが遅れると「延滞金」が発生する市区町村もありますので、注意してください。

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介護保険料の減額・免除はできる?

65歳以上の方で介護保険料の支払いが困難な方には、保険料の減額または免除の制度が用意されています。まずは、免除されるケースから確認していきましょう。

※減額・免除制度の条件は各市区町村で独自の内容になっています。ここでは、多くの自治体が採用しているケースをまとめています。

介護保険料が免除されるケース

①災害(震災、火災、風水害など)で、住宅や家財に損害を受けたとき
6ヶ月間の保険料が免除されます。

<手続きに必要なもの>

  • り災証明書

②監獄、労役場に、1か月以上拘禁されたとき
収監日の属する月から出所日の属する月の前月までの保険料が免除されます。

<手続きに必要なもの>

  • 在所証明書または、在監証明書

③第1号被保険者の属する世帯の生計維持者が死亡したとき
6ヶ月間の保険料が免除されます。

<手続きに必要なもの>

  • 死亡を証明する書類(死亡の記載がある住民票の写しなど)

④第1号被保険者の属する世帯の生計維持者の収入が、障害や長期の入院ににより減少したとき
6ヶ月間の保険料が免除されます。

<手続きに必要なもの>

  • 入院証明書、診断書など

⑤第1号被保険者の属する世帯の生計維持者の収入が、倒産や失業等により減少したとき
6ヶ月間の保険料が免除されます。

<手続きに必要なもの>

  • 離職証明書、雇用保険受給資格者証、廃業を証明する書類など

介護保険料が減額されるケース

介護保険料を減額することができる条件は以下のすべてに該当している必要があります。(※減額・免除制度の条件は各市区町村で独自の内容になっています。ここでは、多く自治体が採用しているケースをまとめています。

①世帯全員の住民税が非課税であること

②健康保険(医療保険)の扶養に入っていないこと
(扶養に入っていても、扶養者が非課税の場合は対象となります。)

③介護保険料の滞納がないこと
(滞納があっても今後計画的に支払いができる場合は相談することができます。)

④生活保護を受給していないこと

世帯の年間収入額や資産(貯金や有価証券)の額が市区町村で決められた額の上限を超えていないこと
(金額は各市区町村のホームページで確認することができます。)

減額の期間と金額

申請を受けた月からその年度末までの保険料が減額されます。(例えば、6月に申請をして受理された場合、6月~翌年の3月末までとなります。)

減額される金額についてですが、「第2段階または第3段階保険料額を第1段階保険料額に減額」するケースと「第1段階保険料額の半額」になるケースの2パターンが多いです。(減額される額も各市区町村ごとに決められています。)

手続きに必要なもの

  • 年金等支給決定通知書
  • 給与明細
  • 収入と預貯金の状況が確認できるもの(家族全員)
  • 仕送り額がわかるもの
  • 家族全員分の資産がわかるもの(預金通帳、有価証券など)

収入がない方でも、通帳などでお金の出入りや資産はチェックされますので、手続きの前に確認するようにしてください。

その他、賃貸マンションやアパートに住んでいる方は、家賃を負担していることが確認できる書類(賃貸借契約書や家賃の振込確認ができる通帳)など、市区町村によって必要な書類が異なりますので、窓口で確認するようにしてください。

介護保険料の減額や免除は、申請した月からとなります。申請時に既に納めている保険料は減額や免除の対象になりませんので、注意してください。

終わりに

介護保険の運営は各市区町村が独自で行っているため、保険料の減額・免除の条件も各市区町村ごとに設定されていますが、生活が苦しく介護保険料を支払うことができない方への対応は、どこの市区町村でも準備されていますので、そのままにせず相談することをおすすめします。

それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。

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