母子(父子)家庭など、ひとり親家庭の親と子が保険証を使って病院で診療を受けた場合、病院で支払った医療費のうち自己負担の一部または全額が、お住まいの市区町村から助成される制度があるのをご存知ですか?
この制度は、「ひとり親家庭医療費助成制度」といい、ひとり親家庭の経済的な負担を軽減するために作られた制度です。
ただ、この制度を利用して助成を受けるにはいくつかの条件(収入など)があります。
そこで今回は、その条件の一つ「所得制限」について調べ方や所得額の計算方法をまとめましたので、良かったら参考にしてみてください^^
所得制限の「限度額」確認方法
「ひとり親家庭等医療制度」を受けるには、収入の条件「所得制限」をクリアする必要があります。この所得制限の限度額を確認するためには、次の1~3の順に確認していきます。
1.前々年中の所得を確認する
↓
2.所得控除額を確認する
↓
3.所得額を計算し、この所得額が下の表②の限度額を超えているか?を確認する
前々年中とは、例えば平成31年1月から令和元年12月までに申請する場合は「平成29年中」の所得から計算します。
それでは、1~3を詳しく解説していきます^^
1.前々年中の所得を確認する
まず、所得額を確認していきますが、所得が給与所得だけの人は、「源泉徴収票の給与所得控除後の金額」欄(画像のA)を確認してください。
次に個人事業主など確定申告をしている人は、確定申告書の「所得金額」欄(画像B)を確認してください。
このとき、元夫(元妻)から養育費を受け取っている場合は、その養育費の8割を加算してください。例えば、養育費を1年間(12ヶ月)月5万円もらっていた場合は、「5万円×12ヶ月×0.8=48万円」48万円をプラスして計算していきます。
2.所得控除額を確認する
続いて、「1」の前々年中の所得から差し引ける控除額を確認します。ここは、該当するものがあれば、その項目ごとに差し引くことができます。社会保険料は一律80,000円の控除となっています。
<表①(所得控除)>
控除内容 | 控除額 |
---|---|
社会保険料や生命保険料(一律控除) | 80,000円 |
雑損・医療費・小規模企業共済等掛金・配偶者特別控除 | 控除相当額 |
障害者・勤労学生控除 | 270,000円 |
特別障害者控除 | 400,000円 |
寡婦(夫)控除(申請者が父母の場合を除く) | 270,000円 |
寡婦特別控除(申請者が父母の場合を除く) | 350,000円 |
老人扶養控除 | 100,000円 |
老人扶養控除(扶養義務者の場合) | 60,000円 |
3.所得額を計算し、所得制限の限度額を確認する
上記の「1」から「2」の金額を引いて「1」-「2」=「所得額」を計算します。
この「所得額」を下記の表②に当てはめ、所得制限の限度額内に収まっているかを確認します。所得制限の限度額をオーバーしている場合は、助成の対象外となります。
<表②(所得制限の限度額)>
扶養人数 | 0人 | 1人 | 2人 |
---|---|---|---|
ひとり親(本人)等 | 192万円 | 230万円 | 268万円 |
同居の扶養義務者 | 236万円 | 274万円 | 312万円 |
養育者家庭 | 236万円 | 274万円 | 312万円 |
※扶養人数が2人目以降は1人増えるごとに38万円が加算されます。
(この限度額の表の内容は、平成31年1月から令和元年12月までの申請に適用されますが、市区町村によっては金額が異なる場合があります。)
扶養義務者とは、同住所の18歳以上の親族ことで、本人の所得が限度額内でも、扶養義務者の所得が限度額を超えている場合はこの制度を受けることはできませんので、注意してください。
また、世帯が違う場合でも同じ住所に扶養義務者がいる場合は、その人の所得も判定の対象になる場合がありますので、お住まいの市区町村で確認するようにしてください。
モデルケースで確認
モデルケースを用意したので、例を見ながら確認していきましょう。
<例>
花子さんは、3年前に夫と離婚し、6歳の子どもと2人暮らしです。現在は派遣会社に在籍し、収入は月額30万円の給与のみです。
先ほどのように、まずは、花子さんの所得から確認していきましょう。
花子さんは給与所得のみなので、源泉徴収票の↓「源泉徴収票の給与所得控除後の金額」を確認します。
花子さんの給与所得控除後の金額は2,340,000円です。
この時点で所得制限の限度額内ということもありますので、ここで先ほどの<表②(所得制限の限度額)>に当てはめてみましょう。
40,000円オーバーしていますね^^;
では、元に戻って、所得控除額を確認していきましょう。
花子さんは会社で社会保険に加入しているため、社会保険料控除(一律80,000円)を控除することができます。
よって、2,340,000円-80,000円=2,260,000円
花子さんの所得額は2,260,000円となりました。
これを先ほどの<表②(所得制限の限度額)>に当てはめてみましょう。
花子さんの所得額226万円は230万円内に収まっているので、「ひとり親家庭医療費助成制度」の所得制限はクリアしていることになります。
所得制限の限度額を確認するときは前々年中の所得と扶養状況で審査するので、今年離婚した方などで、前々年中は元夫が子どもを扶養していた場合、「扶養人数0人」の金額を確認してください。
終わりに
今回は母子(父子)家庭など、ひとり親家庭の親子が対象になる医療費助成制度の所得制限について、私の住んでいる役所で確認したことをまとめましたが、「ひとり親家庭医療費助成制度」は各市区町村によって運営されているため、所得制限の上限額等が異なる場合があります。
また、助成を受けるには、所得制限以外にもクリアしなければいけない条件がありますので、申請の前には一度お住まいの市区町村窓口で相談&確認するようにしてください。
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。