皆さんは年金にも家族手当があるのをご存知ですか?年金をもらって生活している人で、妻(配偶者)や子どもと生計を同じくしている場合に(条件を満たせば)もらえる年金のことを「加給年金」といいます。
ただ、この「加給年金」ちょっと複雑な部分があります^^;
それは、加給年金をもらう条件の中の「妻の厚生年金加入期間が20年以上あると・・」です。実は妻(配偶者)の厚生年金加入期間が20年以上あってももらえるケースもあるんです。
そこで、今回は加給年金について「もらえる人、もらえない人の条件」と「支給停止になるケース」をまとめてみましたので、良かったら参考にしてみてください^^
加給年金とは
加給年金は厚生年金(+共済年金も含む)に加入していた期間が合わせて20年以上ある人が、老齢基礎年金をもらうときに、生計を維持している妻や子どもがいる場合に(条件を満たせば)自分の年金に上乗せされ、もらえる年金です。
別名「年金の家族手当」と言われています。
例えば、夫が65歳、妻60歳(専業主婦)の夫婦の場合、夫は65歳から年金の受給が始まりますが、妻はまだ年金を受給することができません。
この場合、夫1人の年金では生活が厳しいので、妻が65歳になって妻の老齢基礎年金が支給されるまでの間、夫の年金に上乗せして支給しますよ!という制度です。いわゆる「繋ぎ年金」ですね。
※加給年金は厚生年金に設けられている制度のため、国民年金(老齢基礎年金)しか受け取れない人は対象外です。
加給年金支給対象者
加給年金がもらえる人の条件を確認していきましょう。
- 老齢厚生年金または定額部分が受け取れる人
- 厚生年金に20年以上加入している人(共済年金は加入期間に合算されます)
- 年収850万円未満の生計を維持している65歳未満の配偶者(妻)または18歳未満の子ども(障害(障害等級1級、2級)がある20未満の子ども)がいる人
年収850万円以上の場合は、生計を維持していると認められませんが、現在、年収850万円以上でも5年以内に定年退職して850万未満になるときは、生計維持として認められる場合がありますので、該当する方は年金事務所等で相談してみてください。
いくらもらえるの?
<65歳未満の配偶者(妻)がいる場合>
受け取れる人の生年月日(配偶者の生年月日ではありません) | 加給年金額(年間) |
---|---|
昭和9年4月1日まで | 224,500円 |
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日生まれ | 257,700円 |
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日生まれ | 290,700円 |
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日生まれ | 323,900円 |
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日生まれ | 357,000円 |
昭和18年4月2日以降生まれ | 390,100円 |
<18歳未満の子ども(障害(障害等級1級、2級)がある20未満の子ども)がいる場合>
1・2人目の子ども | 3人目以降の子ども |
---|---|
1人につき224,500円 | 1人につき74,800円 |
条件を満たしている配偶者(妻)と子どもがいる場合は、「配偶者(妻)の分」+「子どもの分」=加給年金となります。
加給年金が受給できない人、支給停止になる人
続いて、加給年金が受給できない人、また受給中に支給停止になる条件を確認しておきましょう。
加給年金を受給中に以下の条件に当てはまる場合は、翌月から「支給停止」もしくは「その家族分の加給年金額が減額される」ことになります。
- 配偶者(妻)が厚生年金(共済年金)の加入期間が20年以上あり、老齢厚生年金(共済年金)を受け取るとき
- 配偶者(妻)が65歳になったとき
- 配偶者(妻)と離婚したとき
- 子どもが18歳になったとき(18歳後、最初の3月31日に達したとき)
- 障害のある子どもが20歳になったとき
- 配偶者(妻)が障害年金を受け取るとき
- 配偶者(妻)や子どもが亡くなったとき
- 配偶者(妻)や子どもを「生計維持」しなくなったとき
- 子どもが結婚したとき
- 子どものが他の人の養子になったとき
厚生年金(共済年金)の加入期間が20年以上って?
特に混乱するのが「①妻(配偶者)が厚生年金(共済年金)の加入期間が20年以上あり、老齢厚生年金(共済年金)を受け取るとき」ではないでしょうか?
「妻の厚生年金加入期間がもうすぐ20年に達するが、加給年金は支給停止される?」や「妻の厚生年金加入期間が20年になる前に退職するべきか?」など、この「20年とは?」悩んでいる方も多いと思います。
そこで年金ダイヤルで確認したことをまとめましたので、参考にしてみてください^^
この「厚生年金(共済年金)の加入期間が20年以上・・」というのが関係してくるのは、妻が65歳未満のときに特別支給の老齢厚生年金がもらえる人の場合です。
なので、まずは「妻がいつから特別支給の老齢厚生年金を受け取れるようになるのか?」を確認する必要があります。
<特別支給の厚生年金が受け取れない場合>
昭和41年4月2日以降に生まれた女性は「特別支給の厚生年金」はもらえないため、妻が厚生年金に20年以上加入していても、65歳までは加給年金が支給されます。(年収850万円未満の場合)
昭和41年4月1日以前に生まれた女性で、まだ特別支給の厚生年金の支給が始まっていない人(65歳未満)、厚生年金加入期間が20年以上あっても加給年金は支給されます。(年収850万円未満の場合)
<特別支給の厚生年金が受け取れる場合>
妻が昭和41年4月1日以前に生まれた方で、60歳から特別支給の厚生年金を受け取れる方:65歳前に仕事を退職し、そのときに厚生年金加入期間が20年以上ある場合は加給年金は支給されません。
但し、現在、加給年金を受給している夫がいて、妻が60歳から既に特別支給の老齢厚生年金(加入年数20年未満)を受給している場合は、いずれ妻の厚生年金加入年数が20年を超えることになりますが、この場合、妻の退職改定(厚生年金から脱退)までは、妻の厚生年金加入年数は改定されず、特別支給の老齢厚生年金受給時(20年未満)のままなので、その間は加入年金が支給されるということです。
(本日、読者の方からアドバイスを頂いたので、追記させていただきました。)
また、妻が昭和41年4月1日以前に生まれた方で、60歳から特別支給の厚生年金を受け取れる方:65歳前に仕事を退職し、そのときに厚生年金加入期間が20年未満の場合は加給年金は支給されます。(年収850万円未満の場合)
加給年金は生年月日や配偶者の厚生年金加入期間によって支給停止になるケースと、ならないケースが複雑になっています。今回も年金ダイヤルで確認しましたが、担当者によって回答が違っていることもあったので、年金事務所等で相談してみることをおすすめします。
終わりに
2017年の8月から年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されることになり、現在、無年金の高齢者の方も受給資格期間を満たす場合は、年金を受け取ることができるようになりました。
■年金の受給資格期間が10年に短縮!いつから?いくらもらえるの?
更に、厚生年金+共済組合=20年以上に加入していた人で、今回の加給年金をもらえる条件に当てはまっていれば、更に年金を上乗せしてもらうことができる可能性がありますね^^
年金関係は自ら申請しないと受け取ることができませんので、この機会にご自身の年金と向き合ってみては如何でしょうか?
それでは、本日も最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が少しでもあなたのお役に立てたら幸いです^^