会社を退職するときに退職金がもらえる人で気になるのが「退職金の手取り額はいくらになるのか?」ではないでしょうか^^
もちろん、退職金も給与と同様に「所得税」や「住民税」がかかる場合があります。
そこで今回は「住民税が引かれた退職金はいくらになるのか?」退職金の住民税の計算方法や課税・非課税の計算例をまとめみてましたので、良かったら参考にしてみてください^^
退職金の住民税
住民税は前年の所得に対して課税される税金ですが、「退職金」に対する住民税は給与などの所得とは別々に計算され、会社は退職金を支払うときに住民税を差し引いて支払います。
そのため、予め退職金から住民税が引かれた額が支給されるので、(退職金は)翌年の住民税には反映されません。また、退職後の納付手続きや確定申告(※)も不要です。
※退職金の確定申告は一般的に「不要」となっていますが、実は退職金を確定申告することで還付金が戻ってくるケースも多いです^^こちらの記事で詳しく解説していますので、良かったら参考にしてみてください。
■あなたの退職金は確定申告が必要?不要?還付金が貰える具体例を紹介
では、次に「退職金の住民税は一体いくら引かれるのか?」を確認していきましょう。
退職金の住民税計算方法
退職金(退職所得)の住民税は以下の順で計算していきます。
①退職所得控除額
↓
②退職所得金額
↓
③住民税額
それでは、①~③の求め方をそれぞれ確認していきましょう。
①「退職所得控除額」の求め方
退職所得控除額の求め方は、勤続年数によって、以下の「A」と「B」のパターンに別れます。
<A:勤続年数が20年以下(0年~20年)の場合>
退職所得控除額=40万円×勤続年数
(※退職所得控除額が80万円に満たないときは80万円となります。)
<B:勤続年数が20年を超える(21年~)場合>
退職所得控除額=70万円×(勤続年数-20年)+800万円
勤続年数に1年未満の端数がある場合は、切り上げとなる!
例えば、「勤続年数10年6ヶ月」の場合は「勤続年数11年」とカウントします。また「勤続年数20年1ヶ月」の場合は「勤続年数21年」となり、計算式もBの<20年を超える場合>の方で計算します。
在職中に障害者になったことが原因で退職した場合は、「A」「B」で計算された金額に100万円を加算した額が「退職所得控除額」となります。
②「退職所得金額」の求め方
次に、以下の計算式に、「退職金の額」と先ほどの「①退職所得控除額」を当てはめて、退職所得金額(1,000円未満は切り捨て)を計算します。
退職所得金額=(退職金等の収入金額-退職所得控除額)×1/2
※計算式にある「1/2」は、役員(役員としての勤続年数が5年以内)の退職金には適用されませんので注意してください。
③住民税額の求め方
②で計算した「退職所得金額」に以下の税率をそれぞれ掛けて住民税を計算します。(100円未満は切捨てます。)
<税率>
都道府県民税 | 4% |
---|---|
市区町村民税 | 6% |
都道府県民税=退職所得金額×4%
市区町村民税=退職所得金額×6%
そして最後に、都道府県民税+市区町村民税することで「退職金の住民税」を求めることができます。
計算例で確認
では、計算例を3つ用意しましたので、例を見ながら確認していきましょう。
<太郎さんの例>
勤続年数 | 15年2ヶ月 |
---|---|
退職金 | 800万円 |
まず、「①退職所得控除額」から計算しています。
太郎さんの勤続年数は「16年」(切り上げ)ですね。勤続年数が20年以下なので、先ほどの計算式「A:40万円×勤続年数」を使って計算していきます。
40万円×16年=640万円
太郎さんの退職所得控除額は640万円となりました。
続いて、「②退職所得金額」を計算します。
計算式「退職所得金額=(退職金等の収入金額-退職所得控除額)×1/2」に当てはめます。
(800万円-640万円)×1/2=80万円
退職所得金額は80万円です。
そして、最後に「③住民税額」を計算します。
都道府県民税:80万×6%=48,000円
市区町村民税:80万×4%=32,000円
48,000円+32,000円=80,000円
太郎さんの退職金の住民税は8万円となります。
<花子さんの例>
勤続年数 | 35年5ヶ月 |
---|---|
退職金 | 1,400万円 |
先ほどと同じく「①退職所得控除額」から計算していきます。花子さんの勤続年数は「36年」(切り上げ)で、勤続年数が20年を超えているので、今度は計算式「B:70万円×(勤続年数-20年)+800万円」を使い「①退職所得控除額」を計算します。
退職所得控除額は、70万円×(36年-20年)+800万円=1,920万円となります。
通常だと、このあと「②退職所得金額」を計算しますが、花子さんの場合は退職所得控除額(1,920万円)が、退職金(1,400万円)を上回ってしまいましたね。
この場合は「課税なし」となります。
つまり、花子さんの退職金の住民税は0円となります。
<次郎さんの例>
勤続年数 | 25年1ヶ月 |
---|---|
退職金 | 15,678,924円 |
次郎さんの勤続年数は「26年」(切り上げ)なので、計算式「B:70万円×(勤続年数-20年)+800万円」を使い「①退職所得控除額」を計算します。
退職所得控除額は、70万円×(26年-20年)+800万円=1,220万円となります。
続いて、「②退職所得金額」を計算します。
計算式「退職所得金額=(退職金等の収入金額-退職所得控除額)×1/2」に当てはめます。
(15,678,924円-12,200,000円)×1/2=1,739,462円
ここで1,000円未満を切り捨てますので、退職所得金額は1,739,000円となります。
そして、最後に「③住民税額」を計算します。
都道府県民税:1,739,000円×6%=104,340円⇒100円未満を切り捨て⇒104,300円
市区町村民税:1,739,000円×4%=69,560円⇒100円未満を切り捨て⇒69,500円
104,300円+69,500円=173,800円
次郎さんの退職金の住民税は173,800円となります。
終わりに
今回は退職金(退職所得)に課税される住民税の計算方法についてまとめてみましたが、如何でしたか?計算してみると意外と簡単?だったのではないでしょうか^^
■退職金の所得税はいくら引かれるの?課税・非課税の計算方法を確認
この記事が退職後のライフプラン設計に役立てたら幸いです。それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。