在職老齢年金の計算には「総報酬月額相当額」と「基本月額」この2つを使いますが、そもそもこの2つの金額を正確に把握できないと、正しい計算ができません。。。
年金関係の用語は小難しく、当たり前のように「総報酬月額相当額」、「基本月額」と書かれていますが、“だからその金額は何?どうやって計算するの??”と思っている方も多いのではないでしょうか。。。私は最初そう思いました(汗)
そこで今回は、在職老齢年金の試算を行う前に、まずは「総報酬月額相当額の正確な計算方法」をご紹介させていただきます。総報酬月額相当額の内訳である「標準報酬月額」、「賞与や交通費」の取り扱いなど、1つ1つ噛み砕いてまとめました。
また、具体的な計算例もご紹介しておりますので、ご自身の状況に当てはめて、ご一緒に計算していただけるとよりわかりやすいかと思います。
総報酬月額相当額って何?
まずは、総報酬月額相当額の計算式を確認しておきましょう。
【総報酬月額相当額の計算式】
総報酬月額相当額
=「標準報酬月額」+「その月の以前1年間の標準賞与額の総額/12ヶ月」
早速、小難しい用語が2つ出てきましたね(汗)
- 標準報酬月額
- その月の以前1年間の標準賞与額の総額/12ヶ月
1つ1つ解説するので、ご自身に当てはめてみてください。まずは「標準報酬月額」。
「標準報酬月額」を詳しく説明!
■標準報酬月額の正確な計算方法と調べ方!交通費や賞与、残業代は?
入社時の「標準報酬月額」は、新しい勤務先からの初任給で算出します。※算出方法はこれから解説。
本来、「標準報酬月額」は4.5.6月の給与平均額から算出するのですが、新しい会社に入社した場合は、初任給で「標準報酬月額」を算出します。入社から時間がたち、4.5.6月の平均給与額が出たら、その年の9月から新しい「標準報酬月額」が適用されます。
「入社時の標準報酬月額」は「新しい勤務先からの初任給」で算出する。
※初任給の額面金額(総支給額)です。手取り収入ではないのでご注意ください。また、交通費などの通勤手当・役職手当・残業手当なども含みます。
初任給から標準報酬月額の算出方法
(例)初任給が205000円だった場合の「標準報酬月額」
205000円が該当するのは、195000円~210000のところなので、その左側の200000円が「標準報酬月額」となります。
ご自身の初任給を上記表に当てはめて、「標準報酬月額」を算出してみて下さい^^
「その月の以前1年間の標準賞与額の総額/12ヶ月」を詳しく説明!
続いて「その月の以前1年間の標準賞与額の総額/12ヶ月」についてみてみましょう。
まず、「その月の以前1年間」。これがいつのことかというと、例えば、2019年3月に在職老齢年金を計算する場合は「2018年4月~2019年3月」が「その月の以前1年間」にあたります。
※いつ計算するかによって「その月の以前1年間の標準賞与額の総額/12ヶ月」は変わるので、在職老齢年金の計算は、会社が提出する「報酬月額算定基礎届」・「賞与支払届」を元に毎月計算が行われています。
状況により次の2つの具体例を見てみましょう。
①2019年3月に退職してそのまま再就職する場合
⇒前の勤務先で2018年4月~2019年3月の間にもらった賞与(ボーナスなど)を12ヶ月で割った金額。
※退職金は含まれません。
②退職して1年以上たち、また働きに出る場合。
⇒1年以上、賞与(ボーナスなど)をもらっていないので、「その月の以前1年間の標準賞与額の総額/12ヶ月」は0円。
自分の総報酬月額相当額を計算してみよう!
ここでは下記サンプルをもとに「総報酬月額相当額」の計算を行いますので、ご自身に当てはめてご一緒に計算してみてください。
60歳で定年退職して、そのまま再就職した時の「総報酬月額相当額」を計算。
・新しい勤務先での初任給、198512円(額面支給額)
・前の勤務先での前年の賞与合計120万円(年2回支給された)
手順①初任給の「標準報酬月額」を算出
198512円が該当するのは200000円のところなので、「標準報酬月額」は20万。
手順②「その月の以前1年間の標準賞与額の総額/12ヶ月」を算出
前年の賞与(ボーナス)合計額120万÷12ヶ月=10万
手順③「総報酬月額相当額」を算出
「総報酬月額相当額」
=20万(標準報酬月額)+10万(その月の以前1年間の標準賞与額の総額/12ヶ月)
=30万
おわりに
お疲れ様でした^^以上が在職老齢年金の計算に使う「総報酬月額相当額の正確な計算方法」になります。
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。